何者にもなれなかったあとに
一昨年の10月、大学院に落ちた。理由は英語だった。
でも、「お前は文章を書いていい人間じゃない」と言われたように思えた。1月にも他の大学院の入試はあったけれどそこに向けて頑張れるような根性はわたしにはなく、半年の休学ののち就活をした。
就活の結果は成功といえるものだった。10社受けたうち6社から内定をもらい、そこそこ大手の商社にいくことを決めた。
たぶん、他人から見たらそこそこ順風満帆な人生なのだと思う。10人中4人が可愛いと言ってくれるような中途半端な、けれど生きていくのには困らない容姿があって、彼氏も家族もいて、ある程度の学歴があって、そこそこの企業に内定が決まっていて。
けれどわたしはこれからも院試に落ちたことを、落ちたあとも文章を書き続けようとしなかったことを思うたびうまく息ができなくなって、死にたくなりながら何者かになろうとしなかった自分を呪うのだと思う。